今回は、飲食店のカフェスタッフに有償ボランティアは可能なのかという疑問について、「空吹きチャーリー亭」運営事務局スタッフが解説します。
最後まで読むと有償ボランティア契約書のテンプレートもあるよ!
本日の記事は、
- これからカフェなどの飲食店を開業したいけど、いきなりスタッフは雇用したくない
- 近所の友だちに有償ボランティアで手伝ってもらいたいけど法的に問題ないの?
- トラブルは避けたいから、お互いに安心して働く方法を教えてください。
という悩みを抱える人向けの記事になります。
この記事を読むことで、
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では早速、飲食店のカフェスタッフに有償ボランティアは可能なのかについて、深堀解説をしていきます。
Table of Contents
Toggle1 飲食店のカフェスタッフに有償ボランティアは法的に可能?
結論から言いますと、飲食店のカフェスタッフとして有償ボランティアの活用は法的に可能です。
シェアスペースでカフェ形式の小さな飲食店を始めた場合、1人で運営するのは少し大変なことがあるでしょう。
かし、アルバイトを雇用すると会計処理などで手間がかかります。
できれば、近所の友だちなどにサポートしてもらいたい場合に、有償ボランティアはメリットの多い制度となります。
⑴ 有償ボランティアとは?
「有償だとボランティアではないのでは?」と思われることもあります。
ボランティアは、一般的には「自発的な意志に基づき他人や社会に貢献する行為」とされています。
その自発的に支援したいという想いが本来のボランティアの目的であり、「有償・無償」は本質的な問題ではないと考えられています。
有償ボランティアとは、給料まではいかないが、活動の謝礼として金銭を支払う場合を指します。
これは、ボランティア活動に参加する人の、経済的な負担を軽減するための手段としても有効で、「時給や日給、交通費や宿泊費」など支払い形態はさまざまです。
⑵ 有償ボランティアが増加している背景
ボランティア活動には、交通費や必要な備品の購入など、意外とお金がかかるものです。
無償でのサポートには抵抗がなくても、お金を支払ってまでボランティア活動に参加することには、抵抗を感じることもあります。
この課題を解決するために、参加者が負担する経費を、謝礼として受け取る有償ボランティアが増加しています。
⑶ 有償ボランティアとアルバイトの違い
有償ボランティアは、サポート活動の謝礼として金銭を支払いますが、それは給料ではなく、あくまで謝礼です。
そのため、有償ボランティアは、
基本的に副業とはみなされず、特定の労働契約や最低賃金の適用もされません。
しかし、以下、厚生労働省の『「介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン案」についてのQ&Aについて』をご覧ください。
結論から言って、個別の事案ごとに活動実態を総合的に判断し、使用従属関係下にあるかどうかが有償ボランティアか労働者かの判断のポイントであると記載されています。
労働基準法第9条の労働者に該当するか否かに当たっては、以下の点等について総合的に勘案して判断することになる。
(注1)活動を行うことについて、ボランティアに諾否の自由があるか (注2)「明確に区分されている」とは、例えば、活動場所については、一般の労働者と全く異なる部屋で活動しなければならないということではなく、一般の労働者と同じ部屋の中で活動する場合であっても、対象者がボランティアであることが分かるよう区別されていることが考えられる。(ボランティアと表記された名札を付ける等) |
従って、上記の内容を踏まえ有償ボランティアとアルバイトの区別を明確にし、トラブル予防のためにも「有償ボランティア契約」などを、必ず結ぶようにしましょう。
2 飲食店で有償ボランティアとして働いてもらうことのメリット・デメリット
飲食店で有償ボランティアとして働いてもらうことのメリット・デメリットについて解説します。
メリットとデメリットを比較して、メリットの方が大きければ検討してみましょう。
⑴ 有償ボランティアとして働いてもらうことのメリット
①人手不足の解消
有償ボランティアを活用することで、忙しい時の人手不足を補うことができます。
1人で運営するよりも、サービスの質を向上させることができ、リピーターなどの獲得にも貢献します。
②会計処理や労働保険の手間が省ける
有償ボランティアに支払う謝礼は、給料とは異なるため、会計処理が簡単です。
また、アルバイトとも異なり、労働契約が不要のため、労働保険の手続きも不要で手間が省けます。
アルバイトとして雇用する場合には、労働保険への加入が必須で、労働時間によっては雇用保険への加入も必要になります。
有償ボランティアは、このような手続きが不要なため、事務処理を大幅に削減できます。
③スキルや知識の活用
有償ボランティアで働いてもらう人も、何らかのスキルや知識を持っておられます。
家事が得意や接客が好き、カフェが好きで色んなお店に行ったことがあるなど、スキル・知識の内容はさまざまです。
それらのスキルや知識、経験を活かすことで、飲食店のサービス品質や効率を向上させることもできるでしょう。
⑵ 有償ボランティアとして働いてもらうことのデメリット
①経済的な負担
有償ボランティアで働いてもらう場合には、謝礼を支払う必要があります。
一般のアルバイトと比べると、トータルの支出を減らせることが大半ですが、費用がかかることに違いはありません。収支を慎重に検討して依頼するようにしましょう。
②使用従属関係が弱い
有償ボランティアは、あくまで「自発的な意志に基づき他人や社会に貢献する行為」になるため、勤務時間などの拘束力はアルバイトと比べると弱くなります。
事業主が活動日を予め提示したとしても、その日に活動することを承諾する自由はボランティアとして参加する方の意思が尊重され、強力な指揮命令権は行使できません。
このため、スタッフとしての安定性はアルバイトと比べると低くなります。
③労働者と判断されないよう注意する
前述のように、飲食店のカフェスタッフとして有償ボランティアの活用は法的に可能ですが、すべてのケースで適しているわけではありません。
実際、一般的な飲食店では、安定性と信頼性の確保等の理由から有償ボランティアは、多く活用されている方法ではありません。
開業して売上規模がそれほど大きくないスタートアップの時期や、親しい友だちやご近所の知人に手伝ってもらうケースでの活用くらいのつもりで考えておきましょう。
または、介護や学習支援、コミュニティカフェなど社会性の高いカフェの運営であれば、継続して活用することも可能です。
3 飲食店での有償ボランティアとのトラブル回避方法
アルバイトと比較して、会計処理などの手間や費用を減らすことが可能な有償ボランティアですが、トラブルを回避するための対策をしっかりとして活用するようにしましょう。
⑴ 有償ボランティア契約書の作成
有償ボランティアとの関係を明確にするために、契約書を作成しましょう。
契約書には、活動期間、報酬の内容、労働条件などを明記します。
これにより、双方の権利と義務が明確になり、トラブルを予防できます。
契約書を作成していないと、労働者としてみなされてしまうこともあるので、十分にご注意ください。
⑵ 適正な報酬設定
有償ボランティアの場合には、最低賃金の規定も適用されませんので、1時間500円などの募集もあったりします。
しかし、有償ボランティアに対する報酬は、適正な金額で設定することが重要です。
報酬が低すぎる場合、モチベーションの低下や不満の原因となる可能性があります。
一方で、報酬が高すぎると、経営に負担をかけることになります。
適正な報酬を設定し、双方が納得できる関係を築きましょう。
⑶ コミュニケーションの重要性
有償ボランティアとの円滑な関係を築くためには、コミュニケーションが欠かせません。
繰り返しにはなりますが、ボランティアはあくまで「自発的な意志に基づき他人や社会に貢献する行為」となり、ボランティアスタッフの自発的な思いや意思を”可能な範囲”で尊重してあげることが必要です。
飲食店の運営者側として求める内容・譲れない部分とボランティアスタッフの思いとの折り合いをつけることが必要です。
従って、日常的に意見交換をし、問題や不満を解消するための場を設けましょう。
また、トラブルが発生した場合には、早期に対処することが重要です。
4 カフェスタッフ版「有償ボランティア契約書」標準テンプレート
カフェスタッフとして参加してもらう際につかえる、「有償ボランティア契約書」のテンプレートは、以下のようになります。
そのままでも使用できますし、赤字の部分を実情にあわせて変更して使用することも可能です。
有償ボランティア契約書 (参加者)◯◯ ◯◯(以下「甲」という)と(委託者)◯◯◯◯◯(以下「乙」という)は、次のとおり有償ボランティア契約(労働基準法上の労働者には該当しない。以下「本契約」という)を締結する。 第1条(目的) 第2条(活動内容) 第3条(期間) 第4条(謝礼金) 第5条(個人情報および機密保持) 第6条(損害賠償責任) 第7条(協議事項) 第8条(管轄裁判所) 本契約の成立を証するため、本書2通を作成して、甲乙各自記名押印のうえ各1通を保有する。 ◯◯◯◯年◯月◯日 (甲) (乙) |
参考:空吹きチャーリー亭版「有償ボランティア契約書」
Wordデータでのダウンロード:空吹きチャーリー亭版「有償ボランティア契約書」
5 飲食店のカフェスタッフに有償ボランティアは可能かの結論
飲食店のカフェスタッフに有償ボランティアは可能です。
ただし、メリット・デメリットや、トラブル回避のための注意点をしっかりと理解したうえで、自分にとってメリットが大きい場合に検討してみましょう。
以下、今一度今回の記事の要点をまとめました。
- アルバイトとして採用するよりは、会計処理・労働保険などの手間や、トータルの支出は削減できますが、費用がかかることに違いはありません。収支を慎重に検討して依頼するようにしましょう。
- 必ず、有償ボランティア契約書を作成し、お互いの立場や責務を明確にしましょう。条件なども明確にして、双方納得のうえで働いてもらいましょう。契約書を作成していないと、労働者としてみなされて、思わぬトラブルが発生してしまうことがあるので、十分にご注意ください。
- 有償ボランティアは、手間や費用を削減できるかわりに、双方の信頼関係やコミュニケーションが重要なポイントです。日常的に意見交換をし、問題や不満を解消するための場を設けましょう。
空吹きチャーリー亭は、本日ご紹介した小さな飲食店開業に最適なシェアスペースです。お試し利用も可能ですので詳細については、適宜お問合せください。お試し利用も可能ですので詳細については、適宜お問合せください。
また、毎月第4日曜日はOPENDAYと日曜フリマです。ぜひお散歩のついでにお立ち寄りいただき、空ちゃの中をご覧になってください。
それでは、明日以降のあなたの活動が、より充実したものになるよう祈っています。
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