今回は、学校教育の課題と地域教育の必要性について「空吹きチャーリー亭」運営事務局スタッフが解説します。
そこで本日の記事は、次のような思いを心の中に抱いている人向けの記事になります。
- これから時代が大きく変化する中で学校教育だけでうちの子は大丈夫かしら?
- いじめとか先生の質とか色々不安があるけど今の学校教育って何が課題なの?
- 自分が住んでいる地域の中で子ども達のために何か自分ができることはないかな?
この記事を読むことで、
|
この記事の発信元について
では早速、学校教育の課題と地域教育の必要性について、深堀解説をしていきます。
Table of Contents
Toggle1 学校教育のメリットと課題
学校教育にはもちろん優れた面もあり、また、時代ごとに課題も抱えてきました。現在の日本の学校教育のメリットと課題を考えてみましょう。
⑴ 学校教育のメリット
学校は、将来社会の一員となるにあたって必要とされる知識やマナーなどを効率よく学ぶことができる場所です。
特に日本の小中学校は、全国どこにいても一定水準の教育が受けられるよう整備されており、一定レベルの知識や社会的ルールを子どもに身につけさせるという点では、国際的に見ても優れていると考えられます。
同じ年齢の子どもたちと触れ合い、行事などを共に経験することで絆を深め、社会性を養うことができるのも、学校教育のメリットと言えるでしょう。
⑵ 学校教育の課題
一方で、現在の学校教育には課題も多く指摘されています。
近年、特に問題視されているのは、教員の忙しさです。
新しい学習指導要領への対応、さまざまな会議や現在導入が進んでいるICT関係の研修、また中学校では部活動指導も大きな負担となって教員の疲弊を招き、子どもたちにじっくり向き合うゆとりがない教員、心を病んでしまう教員が増えています。
そうした教員の事情と合わせ、SNSの普及もあり、大人の目の届かないところでのいじめなど、子ども同士の人間関係のトラブルも依然として問題となっています。
また、改善は試みられているものの、日本の学校教育は依然として知識偏重型の傾向が強いと言われています。
これからの時代は、自ら課題を発見し、試行錯誤してその解決を図る力が必要不可欠だとされますが、そういった力を伸ばすには、学校教育だけでは不十分だと言わざるを得ない状況があります。
さらに、子どもたちのさまざまな個性や能力、出自、家庭環境などの多様性に対する柔軟な対応も、難しいのが現状です。
最近では発達障害の子どもなどへの合理的配慮をしなくてはならないという意識は生まれてきていますが、実際の現場ではまだ、個性や多様性、さまざまな格差に対応した教育が十分に行われているとは言い難い状況です。
2 教育とは家庭・学校・地域の3本柱で本来推進
教育はもちろん、学校教育のみに頼るべきものではありません。
生まれてから学齢に至るまで子どもたちが過ごす家庭での教育がまず大切であり、その家庭や学校が根ざす地域の中で育まれるものも多くあります。
家庭・学校・地域の3本柱がそれぞれしっかり機能してこそ、子どもたちの健全な成長を支え、見守ることができます。
ここでは、学校と並ぶふたつの柱、「家庭」と「地域」の役割を確認しましょう。
⑴ 教育における家庭の役割
家庭は、子どもにとって最初の学びの場です。
家族との関わりの中で信頼できる他者の存在を知り、人との関わり方などの社会的スキルを身につけていきます。
基本的な生活習慣やマナー、物事の分別についてのしつけも、家庭によるところが大きいでしょう。
また、家庭において、保護者が子どもの興味や個性を認め、それを伸ばすよう温かくサポートすることで、健全な自己肯定感が育まれます。
さらに、読み書きや算数の基礎などが家庭で始まり学校教育へとつながっていくように、さまざまなことへの好奇心を伸ばし、学校教育につながる基本的な学習姿勢を身につける場というのも、家庭の役割であると言えます。
⑵ 教育における地域の役割
地域は昔から、教育において重要な役割を担っています。
子どもたちは、地域での日々の生活の中で、また、祭りなどの行事に参加することで、地域の文化や地域の人々とのつながりを肌で感じ、社会性を伸ばしていきます。
また、地域で開かれる体験学習的なイベントは、学校教育だけでは味わえない様々な実体験ができる貴重な学びの場です。
学校教育で教わる内容が理論だとすると、生活の中で知識を活用して実践をしている場が地域となるため、まさに生きた知識を学ぶ場が本来地域の役割として存在しているはずです。
3 3本柱のバランスが現在崩壊している
このように、子どもの教育は本来、家庭・学校・地域の3本柱がバランスよく機能することで健全に推進することができるものです。
しかし近年、この3本柱のバランスが崩壊していると言わざるを得ない現状があります。
どのような状態になっているのでしょうか。
⑴ 学校教育の現状
上でもすでに触れましたが、学校教育は現在、教員の働き方をめぐって大きな過渡期にあります。
働き方改革の名のもとに時間外労働の削減などの負担軽減策が打ち出されていますが、現状では仕事量自体が減っていないため、教員の多忙さに変わりはありません。
会議や研修、中学校での部活動指導など授業以外の校務が多いため、十分な授業準備ができない、子どもたちにじっくり向き合えないという悩みを抱える教員も多くいます。
また、学校教育は本来、家庭としっかり連携して行われるべきものですが、ひとり親家庭、貧困家庭の増加に伴い、家庭で行われるべき身の回りの世話やしつけなどが不十分な子どもも増えており、その分教員の負担がさらに重くなっている面も指摘されています。
さらに、こうした労働環境が敬遠されて教員志望者が減少し、教員の質の低下も問題視されています。
⑵ 家庭教育の現状
家庭における教育は、二極化の傾向にあると考えられます。
経済的に余裕のある家庭では保護者が教育に熱心で、幼少期から手厚い教育を受けさせようとすることが多い傾向があります。
一方で、貧困層の中には、生活することに手いっぱいで保護者が子どもの教育にまで細やかに関心を向けられない家庭も増えており、家庭によっては、子どもの食事を給食に依存せざるを得ないなど、厳しい状況も見られます。
こうした状況は、少子化や核家族化、地縁的な人間関係の希薄化などによるもので、その意味では、経済状況に関わらず、子育てに不安や負担感を抱く保護者は増加していると考えられます。
さらに、過保護や過干渉、放任など、家庭教育力が低下していると言われており、基本的な生活習慣やマナーを子どもが学べていないという状況や、保護者による虐待の深刻化も指摘されています。
⑶ 地域教育の現状
かつての地域は、“大きな家族”のような存在として、地域の大人みんなで子どもたちを見守り育てる役割を担っていました。
しかし近年、高齢化や人口減少、自治体の財政状況の厳しさの中で、地域が機能不全に陥っている状況が指摘されています。
昔から地域に根差して活動してきた教育関係の団体などが、参加者の減少のために活動の縮小や終了を余儀なくされる状況も見られ、地域の教育力は大きく低下していると言わざるを得ません。
学校と家庭の教育に課題が多い中、その大きな受け皿とも言える地域の交流の豊かさが失われることは、子どもの教育にとって非常に厳しい状況であると言えるでしょう。
4 学校教育外の地域教育の重要性とメリット
このように地域の教育力の低下が指摘される中、今後の地域教育においては、「行政によるサービスを受ける」という意識ではなく、地域に生活する人々が「互助・共助」の意識を持って「自ら関わっていこう」「互いに学び合おう」という主体的な姿勢で関わっていくことが大切だと考えられます。
ここからは、学校教育外の地域教育の重要性とそのメリットを見ていきましょう。
⑴ 地域教育の重要性
かつての日本では、子どもたちは大家族の中で育ち、保護者だけではなく祖父母や多くの兄弟姉妹、親戚など、家族の中だけでも多様な年代の人々に触れて、さまざまな体験を通して生きる知恵を学ぶことができました。
しかし現代では、核家族化や、共働き家庭、ひとり親家庭などの増加に伴い、家庭の中だけでできることはかつての時代と比べて非常に限られています。
こうした中、地域の人々が連携し、“大きな家族”として多様な形で世代を超えた関係を結ぶことは、子どもたちの豊かな成長のために非常に重要であると言えます。
⑵ 地域教育のメリット
地域の人々が自ら子どもたちの教育に関わろうとする意欲を持ち、教育環境の充実を図ることは、子どもたちの健全な成長に資するのはもちろんのこと、そこに住むすべての人々の豊かな関係づくり、そして地域の活性化へとつながります。
こうした地域教育の充実は、学校教育にとっても大きな力となるはずです。
また、地域が学校と連携するのはもちろん、単なる“学校の支援者”にとどまらず、地域の人的資源を活用した独自の社会教育のしくみをつくることで、子どもを持つ・持たないに関わらず、あらゆる大人たちが地域のために手を結ぶ関係を築くことも可能となり、大人も生涯学び続けることのできる環境をつくっていくことにもなるでしょう。
⑶ 受け身ではなく、わたしたちができること
このように考えてみると、現在の子どもの教育に疑問や不安を抱くわたしたち自身にできることがある、とお気づきではないでしょうか。
これからの時代は、公的サービスを「待つ」のではなく、自らが主体となって地域教育に関わることでこそ、子どもたちの教育環境をよりよくしていくことが可能となるのです。
そしてそのことが、わたしたち大人自身の豊かで充実した人生にも結びついていく。これは非常にやりがいのある、魅力的な取り組みになるのではないでしょうか。
5 地域内であなたの特技を教えてみよう
ここまで読んで「そうはいっても、自分には教えられることなんてないし、何をどう始めたらいいかわからない…」とお考えの方も多いかもしれません。
しかし、地域教育は、いわば“祖父母の知恵”の延長にあるものなので、教えるためになにか特殊な才能や経験が必要なわけではありません。
あなたがこれまでに身につけてきたことの中に、子どもたちに必要な学びが眠っているのです。
また、自分ひとりで始めることは難しくても、各地域に生まれつつある地域の学びの拠点をうまく活用することで、可能性は大きく広がります。
⑴ どんなことができるか
あなたの得意なこと、好きなことを掘り起こしてみましょう。
得意なことは自分にとっては“できて当たり前”と考えてしまうため、意外と気づきにくいかもしれません。家族や友達に「わたしの得意なことって何だろう?」と尋ねてみてはじめて気づくこともあります。
お菓子作りが得意なら、地域の子どもたちとお菓子作りを楽しむ教室ができるかもしれません。
仕事でプログラミングを身につけた経験があれば、プログラミングの基礎教室が開けるかもしれません。
絵が得意な人、ネイルが得意な人、小物づくりが得意な人などが、それを教えることもできそうですし、勉強が得意なら、夏休みの宿題をサポートする場をつくるのもよさそうです。
ピアノやギターなどの楽器演奏の趣味があれば、ミニコンサートを開いて生の演奏を聴いてもらうのも立派な活動になるでしょう。
そこまでの特技がなくても、子育ての経験を生かして、月に数回お母さんと子どもが集まっておしゃべりをする「子育てサロン」をやってみる、年齢関係なく子どもからお年寄りまでが自由に集うお茶のみ場を開く…など、できることはいろいろとありそうです。
⑵ 今すぐにはできなくても
そんなことすぐにはできそうにない、と感じても、こういった活動を目指す意識を持つことで、「もっと得意になりたい」「もうちょっと勉強(練習)してみよう」と、向上心を持って自分が学ぶことにつながります。
それは、あなた自身の生きがい、楽しみにもつながるでしょう。
また、ひとりでは無理だと感じることも、友人や近所の人たちと得意を持ち寄ることでできることもあるでしょう。
「教えなくては」と肩肘張るのではなく、「みんなで楽しもう」「ちょっと役に立てればいいな」という気持ちで、小さな一歩を踏み出すことが大切です。
⑶ どこでやるのか
こうした取り組みを自宅で一からやるのは、設備の面でハードルが高いかもしれません。
地域の公民館などがあれば、そうしたところを利用するのも一手ですが、近年では、さまざまなイベントに柔軟に対応できるレンタルスペースが各地に生まれています。
こうしたスペースでは、机やいす、プロジェクターやスクリーン、Wi-Fi環境、キッチンの設備などが整えられており、比較的手ごろな価格で利用することができます。
スペースのオーナーにイベントの相談に乗ってもらったり、告知をサポートしてもらったりできる場合もあります。
地域にそんなレンタルスペースがないかどうか、そこでどんなイベントが開かれているか、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
6 学校教育の課題と地域教育の必要性のまとめ
お伝えしてきたようにこれからの教育においては、学校教育の充実を図るのはもちろん大切ですが、それだけに依存するのではなく、地域のわたしたちが持っている力を持ち寄って、小さなことからみんなで楽しみながらつながっていくことが非常に大切です。
各家庭だけでできることは限られますが、地域内で連携することで各家庭の保護者が抱える不安も軽減され、これから増え続ける高齢者の知恵を子どもたちに伝えていくことも可能になるでしょう。
その第一歩となるのは、わたしたちひとりひとりが、自分にできることを、できる範囲でやってみることです。
そうして地域の教育力が高まることで、学校教育に偏っていた負担も軽減され、家庭教育の不十分さを補うことにもなります。
ぜひあなたも、地域の学びの場をつくるための小さなアクションを起こしてみてください!
空吹きチャーリー亭は、あなたがその一歩を踏み出すことを応援するレンタルスペースを運営しています。お試し利用も可能ですので詳細については、適宜お問合せください。
また、毎月第4日曜日はOPENDAYと日曜フリマです。ぜひお散歩のついでにお立ち寄りいただき、空ちゃの中をご覧になってください。
それでは、明日以降のあなたの活動が、より充実したものになるよう祈っています。
Instagram「@solafuki_charlie_tei」とTwitter「@solacha_jp」も更新していますので、是非ご覧ください。
この記事の発信元について